【高校物理】ダイオードの基本構造(pn接合)
基本概要
そもそも電流とは、物質中の荷電子の移動のことを指します。そして、その荷電子が物質中にどれだけ存在するかによって導電性が決まります。半導体とは、導体と絶縁体の中間的な役割であり、代表的な例としてケイ素(Si)やゲルマニウム(Ge)などから構成されます。
キャリア
半導体は、温度が上がると原子の運動が激しくなり、一部の電子は原子から離れ自由に動き回るようになります。このとき、元々電子があった空きの部分をホール(正孔)といいます。ホールは荷電子数を満たすように、他の最外殻軌道の電子(荷電子)によって埋められ、その移動した荷電子部分にもまたホールができます。
半導体において電気伝導を担う荷電子は、マイナスの電荷をもつ電子とプラスの電荷をもつホールの二つで、これらをキャリアと呼びます。キャリアは、温度上昇と共にこれらのキャリア密度も増加する性質を持ちます。
構成
ダイオードとは、p型半導体とn型半導体を電気的に接合したものであり、pn接合ダイオードとも呼ばれます。
・p型半導体:周期表のⅢ族の元素(ホウ素(B)、ガリウム(Ga)など)を不純物としてケイ素(シリコン)に混入させたもの。共有結合時に荷電子が不足する。
・n型半導体:周期表のⅤ族の元素(リン(P)、ヒ素(As)など)を不純物としてケイ素(シリコン)に混入させたもの。共有結合時に荷電子が余り、自由に移動できる電子(自由電子)ができる。
ダイオードの半導体に不純物を混入させるのには理由があります。
単原子のみが共有結合によって構成された半導体を真性半導体と呼びますが、これは荷電子数を満たしている状態であり、自由電子が動きづらく、電気が流れません。
ここで、荷電子の不足と余りの関係を用いて電子の移動を起こさせることで、電流が流れる状態を作ることができます。